過去の人との契約

自分らしさとは何か
既存のものから自分の好きなものをリストアップすること。
またはそれらから新しい組み合わせを作り出すこと。
自分が好きなものを表明するということは、皆に自分の好きなものを広めること。
人々に受け入れられれば、それは世の中に広まっていく。
結果、自分が好きなものが未来に残っていく。

今自分が何を行うか、何かを行うときにどの様に行うか、ということにおいて過去のものを参考にして行う場合、それは過去に誰かが残したかったものの有用性を享受しているという事である。

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今の自分の存在と今の自分の状況は全て生まれてから今まで自分が望んだことの集大成であり、
自分が生まれる前から望んできたことの集大成である。
なぜなら、今の自分とは生まれてからの数限りない選択肢を取捨選択し続けてきた結果であり、
先祖代々が選んだ選択肢の結果だからである。

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太古の昔、人は火を使うことを覚えた。
そして、火を使うという知恵は、当然のごとくその子にも継がれて行く。
最初に火を使った者は思っただろう。
この革命的な知恵は、自分がいなくなった後の世界でも広まっていくだろうと。
この知恵の恩恵を享受して子孫達に繁栄してほしいと。
数ある選択肢の中から、「道具を使用することによる恩恵を享受する」という手段をもって、他の生物に対し優位性を築いて欲しいと。

現在、地球上で火を使わない民族は存在しない。
地球上全ての人が火の恩恵を受け、生活の中で使用している。
人生の一部に火を使用することが組み込まれている。
はるか昔に彼の発明した物は、数百万年後の今日なお、地球上に存在する全ての人の行動に対して強制力を持っている。
革命的なる発想は、遠い先の未来に生きる、多くの人の生活をダイレクトに制御する。
利便性という魔法はそれほどまでに強大で、絶対的な力だ。
そしてそのことは、彼の残した英知が、現在の人類の特性を決定付けているということ。
彼の残した英知が、人類のアイデンティティを決定したということである。